コラム 2018/12/02

|Déjà-vu的な!|#4 飾っておいてはだめなもの

#4 飾っておいてはだめなもの

朝ごはんは、りんごと豆乳ミルクティー。おわり。

Hさんとの打ち合わせに出かける。
外はあんまり寒くない。ぜんぜん寒くない。
これであってるんだよね?って感じの服装になってしまう。

Hさんの新しいギャラリーはなんかいろんなものがいっぱいあって面食らう。
しかし、ひとつずつみていくと面白い。
家具や什器もヨーロッパのどこか(忘れた)のもので、絵やら器やら子供用のおもちゃやら文房具やら本やら、とにかく見飽きないくらい大量。
あれも欲しい、これも欲しいと私がしつこく見ている間に、Hさんはお茶を用意してくださった。

午前のお茶

華やかな朱色のうつくしい茶托にのせられて、人間国宝がつくられた朝鮮唐津のお湯のみが運ばれてきた。
むっちりとした土の姿が想像できるような削り方のお湯のみ。
しばらくすると、小さなタイマーから音がした。
お茶の蒸らしが終わったのだ。
その時間、10分。

急須の注ぎ口から、草木のとてもよいかおり。
いいにおい!というと、いつもの市場で買ってきた、このへんの番茶ですよと。
特別なお茶でなくても、こんなふうに丁寧に扱われたらお茶っぱも幸せだろうよ。
10分、ちゃんと待ってもらえる番茶ってそうそうないよ。
(お茶を入れたまま忘れて放置しちゃうことはよくあるが。)

「こういう高価な器も、飾ってたってしかたがないでしょう。お湯のみなんだからお茶飲まなきゃ。
絵もそう。コレクションをしまっておくんじゃなくて、ちゃんと家の中に置いて、毎日本物を見続けなきゃ意味がないですよ。
毎日使う、毎日眺める。このことが大事ですよ」と。

毎日触れる。ほんものに。
大事にするってことは、しっかり使うことなんだ。
値段のことではなくて、大切にしているものを、好きなものを。

お昼過ぎにギャラリーを出ると、道路と自転車のサドルがぬれていた。ハンドルも。
しらないうちに雨が降り、そしてもう降っていなかった。

Hさんが「ランチならぜひあちらへ」とお店を教えてくれた。
いろんなことをしないで、普通のものを普通にちゃんと出してくれるお店なのだそうだ。
Hさんはいつもデザインのこともそのようにおっしゃる。
余計なことはしないで欲しいって。
デザインのないデザイン。
いつだって私もそういうものを作りたいと思うが、作りたいとか言ってる時点でエゴが出ている気もするし、この矛盾する壮大なテーマのなかではずっとスパイラル。
デザインしなくなるときが私に訪れるのだろうか。

夫がまだ家に帰ってなかったら、一緒にそのお店でお昼ご飯どうかなと思い(今から帰ってごはんつくるのがいやだから)、Hさんのおすすめ具合すごかったから行こうよと電話をした。
夫は「今ちょうど家に帰ってきたけど、べつにつきあってあげてもいいよ」と言った。
えじゃあいいよ帰っちゃったんだったらうちでごはんするよって私は言ったけど、「いいよ、いってあげても」と夫は笑いながらふたたび言った。
来たいんじゃん!
私はしめしめと思い、お店の前で待った。

飲み屋で定食

老舗の飲み屋だけど、私は初訪問。お昼の定食があることも知らなかった。
野菜の串揚げ定食をお勧めされたので、それを頼んだ。
我慢できず、私はつい生ビールも。
なんでもない串揚げだけど、美味しい。
まずくなれない食べ物のようで案外そうでもないのかもと思う。
お店の人が小声で「大盛りもできるから注文の時に声かけてね」と教えてくれる。
すごい。毎日来たい。
みんなに愛されるわけだ。

夫と別れ、私は事務所へ。
バラバラとした小さな仕事が積もってできた山を、ちょっとずつ崩して片付けていく。
これにはいつも思ったよりすごく時間がかかる。
自分の予測が信じられない。
ラフの精度を高めたい。頭の中と画面の中の狂いをなくしたい。なくしたい。
練習あるのみ!

0時過ぎに事務所を出ると、イベントのアフターパーティー終わりの夫たちと出くわす。
ひえーしくった。こんなボロボロなタイミングで誰にも会いたくない!
挨拶もそこそこに、逃げるように帰った。

このあとラーメン

お風呂から出て、すぐビールをあける。落花生も。
よせばいいのに、ラーメンを作ることにする。
だっておいしい生麺を手に入れたから。こんなの大事にしまっておけない。それに私はお腹が空いている。

ダイエットどこいったんだろう。
鶏がらスープのことばっかり考えてしまう、こんな夜更けに。

 

 

Text&Photo: Azusa Hamaguchi

1975年生まれ。地方都市→東京→結婚して、わりと田舎へ移住。
フリーのグラフィックデザイナー。夫と二人暮らし。
お酒が好き。食べ物と暮らしを「妄想」するのが趣味。

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