コラム 2019/03/04

|Déjà-vu的な!|#10 BEAUTY IN THE WORLD

#10 BEAUTY IN THE WORLD

朝ごはん

鶏ハムのバゲットサンド。
あごがいたい。
なんとなくコーヒーじゃなく紅茶。

最近、心と体と世界がぜんぶ遠い。
背中と喉と心臓がこわばっている。
仕事を納品してもちっともすっきりしないし、集中してるのに冷めていて、充実感がない。
先のことがどんどん気になって焦ってしまい、すぐにできるはずのことも手につかなくなっている。

一旦落ち着いてみよう。
まずは片付けかもなと思い。家で不要品の整理。
使っていないPCと、昔の携帯電話などの処分先を確保し、朝からそれぞれの場所に持ち込む。
洋服やバッグは買取業者に送る申し込みをした。
気になっていた三大不要品。

PCは小銭になって帰ってきた。
回収された携帯電話は、オリンピックのメダルになるんだって(金属が)。

あんかけ焼きそば!

冷蔵庫の中身もちゃんと整理するかってことで、いろんな残り野菜を炒めてあんをつくった。
奇跡的にエビが冷凍庫にあった。ラッキー。

焼きそば好きの私は、あんかけ焼きそばも当然好き。
あんかけ焼きそばって、案外、どこにでもあるようでない。
揚げてあるのだったらよく見るんだけど、食べたいのはそれじゃない。
もうちょっと麺をほぐしてから投入すればよかった・・失敗。
 
冷たいフライパンに油をひいて生麺(洗って粉を落とした)をおき、水を注いで蓋をしたあとに火を点ける。
これは、餃子を焼くときにアドバイスしてもらったのと同じ方法。
鉄のフライパンなのに、つめたいままでいいのかなって思うけど、意外と焦げつかない。
 
熱したフライパンに並べてお湯を注ぐよりも、焦げの味が全体に周ることがないのでいいですよってすすめられた。
たしかに、お湯を沸かしたり、タイミングを気にしなくていいからあわてないし、なにより、お湯を注いだ時にまわりにはねない点が気に入っている。
グリルの掃除がらくちん!

洋服とバッグの箱詰め(業者に送る)をしながらタブレットでアグリー・ベティの最終回を見る。(当然吹き替え!)
ラストシーン。
メイシー・グレイのbeauty in the worldが流れはじめて、歩き出すベティをフォローするロングカット。
人混みの中、遠くちいさくなっていくベティからカメラがパンアップして、そこにタイトルが浮かぶ。
しかもでっかくカットインで!
カットインってほんとうにいいよね!
私、シーンにかぶるカットインのタイトル、しかも極太ゴシックのそれがほんとうに好きだ!!
そのタイトルにちょっとした仕掛けがあって、ぶわーっと涙が。
ベティにもう会えないんだー。

じみこん

ぎんなんが残っていたのでスキレットで炒って、そのスキレットで叩き割る。
厚揚げをこんがり焼き、生姜じょうゆとネギと鰹節でたべる。
おいしーーーいトマト切っただけ。
しいたけのグリルと、ほうれん草の胡麻和え。
あと、冷凍庫に入れっぱなしだった穴子の白焼きをトースターで焼く。
この手の地味な献立ができるとちょっと嬉しい。
なんでもないメニューなのがいい。
ビールと、ウィスキーのソーダ割り。

一日中降り続いた雨の音がさらに強くなった。
部屋の前の広場に咲いた桃と梅がそれに濡れていた。
コインパーキングの入り口のライトが素早く点滅し、短いコートから細い脚を出した若い女の子が横切っていく。
こんなに雨が降っているのに彼女は傘を持っていない。
酔っ払いは大声でなにかを叫び、カーステレオの低音があたりに轟く。
しみったれた世界ってこんなふう。
私は不用品(きっとまた増える)と不安をかかえてここで生きる。
これでいいなんて言えない。
でもときおり光がさす。
そして物語はそこにある。だれがなんといおうと。
Always beauty in the world.

 

 

Text&Photo: Azusa Hamaguchi

1975年生まれ。地方都市→東京→結婚して、わりと田舎へ移住。
フリーのグラフィックデザイナー。夫と二人暮らし。
お酒が好き。食べ物と暮らしを「妄想」するのが趣味。

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